ガラス窓を破るほどの嵐の翌日、スーパーへ買い出しに出掛けたデヴィッド(トーマス・ジェーン)。軍人やパトカーが慌ただしく街を往来し、あっという間に 店の外は濃い霧に覆われた。設備点検のために外に出た店員のジム(ウィリアム・サドラー)が不気味な物体に襲われると、店内の人々は次第に理性を失いはじ め……。
映画「ミスト」の感想です。ネタバレを含みますので未見の方はお気をつけください。
賛否がわかれる映画
「観た後に鬱になる」「つまんない」
か
「ストーリーがよかった」「終わり方が良い」
のどっちかにわかれる映画。「ダンサーインザダーク」とかの終わった後に視聴者を暗くさせる魔法の映画と一緒にされてますが、私はこの映画に関しては賛の方なので、そうは思わなかったなぁ。
何回か観てるけど、本当に良くできてるなぁと思います。「ダンサーインザダーク」と並ぶくらいの鬱映画なら私は「ボーイズドントクライ」を推したい。あれは、二度と観れない・・。
恐ろしい集団心理
この映画の核となるのが化け物と集団心理。不安な状況にいる時の人間の心理は本当に怖い。誰も予測できない。そして必ずみんなの不安をあおり、その場を支配する人間がいる。男でも女でも。今回は女。
この人がまたもっともらしいことを言うのが上手い。もしや、もしやそうなのではないか・・?と、人に思わせてしまうから怖い。主人公が冷静に対処しようとしたのは良かったけど、こういうタイプは話しても無駄なんだよね。
この映画のすごい所は、みんながみんな、罪を犯したらその代償を必ず支払ってるとこ。女性を撃ち殺した人も、店を出てから真っ先に化け物に殺された。
彼のおかげで女性は静かになり、子供も助かった。でも、彼は人を殺してしまった。そして彼も殺された。
こういう布石があるからこそ、ラストが余計に引き立つんだろうなぁと思います。
本当の化け物は誰か
後半、一番残酷だなと思ったのは子供の動かし方。女性に抱きしめられ、安心したまま眠っていたのに、撃たれる前に起きるんだよ、この子。
これがほんっっとうにこの監督鬼だなと思いました。恐ろしい。あのまま眠ってるならまだ、まだよかった。
父親はもう一生、子供が死ぬ前にした顔を忘れられないんだろうなぁ。私はあのお父さんは保護された後、精神病院に入るんじゃないかなと思う。
真実も知ってるから、政府とか軍の関係者に隔離されるんじゃないかと思ってる(Xファイルで鍛えた脳)
この映画はどう考えても化け物が一番こわいはずなのに、あの化け物がかすむほどに、人間という生き物が怖い。
結局悪いのは誰だったのか、どうすればよかったのか、答えは全部、白いミストの中。