映画の感想

映画「ヴィジット消された過去」のあらすじとネタバレ

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【ネタバレ】イギリス映画「ヴィジット消された過去」の感想

 

WOWOWで日本初放送された映画「ヴィジット 消された過去」の感想です。ネタバレを含みますので未視聴の方はお気をつけください。

 

 

あらすじ

若い女性ジャニュアリーは恋人のカラムとリオデジャネイロを旅行中、交通事故に遭って記憶を失った上、車椅子に乗るように。

カラムとともに英国の郊外にある実家に帰るが、彼女は6年前に家出をしたのにその理由を覚えていなかった。しかも父親アルバートや母親マリリン、ジャニュアリーの兄や妹はカラムを歓迎していない様子だった。カラムが去った後、ジャニュアリーはリハビリに励むが、幼いころにあったある大事件を思い出す。

 

 

簡単な話の内容と結末

主人公ジャニュアリーが恋人とバイク事故に遭って記憶を無くす。恋人は仕事もしてないため、ジャニュアリーは長い間疎遠だった実家に帰る。

しかし、記憶をなくしているからか、家族がまるで他人のようで・・・・

 

 

主人公が記憶をなくした映画だと、後半は記憶を思い出す方向にもってくのが多いですが、この映画に関しては最後まで彼女の記憶ははっきりと出てこなかった(部分的な記憶だけ)

 

退院したジャニュアリーを迎えてくれた家族(父、母、兄、妹)は、実際はジャニュアリーの父親の使用人として雇われていた人達で、ジャニュアリーとは赤の他人。

 

長年この家で執事を勤めている男性曰く「ジャニュアリーの父親は彼ら一家にひどいことをしていた。彼らは娘のあなたが退院すると聞いて、あなたの父親を殺した。

使用人たちはあなたと私を服従させることで、復讐をしている」とのこと。

この執事がまたいい人で、こっそりジャニュアリーに真実を話してくれるようになるから、ジャニュアリーも違和感に気づくようになる。

 

 

ジャニュアリーの父親がしたひどいこと。彼女の父親は昔、ある一人の女性を犯し、妊娠させた。

父親は「その女性との子供を自分が引き取る」と言ったため、奥さんは自殺。

 

その女性が実は使用人として働いていた人で、ジャニュアリーの本当のお母さん。

 

お母さんだけが唯一の血縁者だった、という話なんですが、使用人たちはみんな血縁者(夫婦、息子、娘)なので、もちろんジャニュアリーの父親がしたひどいことを使用人の男は許せるはずもなく・・・

 

ジャニュアリーを監禁したり、乱暴したり・・ この暴行のせいで、彼女は妊娠。

 

 

後半は、監禁されたジャニュアリーを執事が助けて一緒に逃げようとするんですが、ジャニュアリーは家に残り、使用人たちを銃で撃ち殺します。

でも実の母親だけは殺せず、みんなを撃ち殺した銃と一発の弾丸を彼女に渡します。

 

その後、自ら命を絶った母親。

 

 

執事は一人で車を走らせ、どこか遠い所へ。

ジャニュアリーは誰もいなくなった家の玄関に座り込む。ここで映画は幕を閉じる

 

 

すっかり書くの忘れたけど、ジャニュアリーの恋人も使用人たちに殺されて埋められます(ごめんなこんな扱いして・・)

感想

 

 

 

イギリスっという感じです。
アメリカの映画のようにブロンド美人が返り血あびて「きゃー!」っていうわけでもなく
日本の映画のように布団の中からいきなり真っ白な子役が出てどこかの世界に引きずるわけでもなく。

 

とにかく静か。そして登場人物の感情が全然読めない。

 

だから誰が味方で誰が敵か、誰を信用していいのか全然わからない。だから怖い。

 

 

ただクズ兄ちゃんの最期の言葉が「しゃぶってくれないか」なのはとても面白かったです。

ゲイリーオールドマン氏が色々な映画で「クソっ」って言って死ぬのとどこか似ている。

ゲイリー氏で思い出したけど、そういえばジャニュアリーがお父さんを殺す時なんとなくレオンのスタンフィールドを思い出したなぁ(レオンとは全然関係ないんだろうけど)

 

とにもかくにも静かで不気味。主人公が記憶喪失っていうのは映画ではよくある設定だけど、今回のはどう動くか全然わからなかった。

かといって、オチにすごく驚くわけでもない。「あっそういうことか!」というかんじ。

でも「つまらなかった」というわけでもない。

 

話よりも役者の演技とカメラワーク、音楽を楽しむ映画だと思いました。

 

一点透視図がすごく頻繁に使われていて見てて面白かった。撮り方おもしろいなぁと思ってたけど、WOWOWさんによると監督はカメラマンでもあるそうな。

 

役者さんもイギリスではとても有名な方々ばかりらしく、それもうなずけました。特にお母さんが怖かった。何考えてるのかわからなかった。

でもこの人だけが結局本当の肉親だったんだよなぁ。ジャニュアリーも実のお母さんだけは撃てなかった。

お母さんが自殺して、玄関にジャニュアリーがぺたっと座り込む時のあの座り方がすごくうまくて印象に残ってます。

「何もかも終わった」という安堵感もなく、安心感もなく、「虚無」という感じ。

実のお父さんがしてしまった大きな業を、自殺した奥さんとジャニュアリーが受けてしまったんだなぁ。そう考えるととても切ないです。

 

お父さんがしてきたひどい過去が映像として出なかったことと、ジャニュアリーが地下で乱暴されるシーンが直接出なかったのは観ていて助かった(もうこの辺でだいぶ辛かった)

 

でもそれら鬱鬱とした空気を全て払拭してくれた「しゃぶってくれないか」兄ちゃんに感謝の気持ちを込めて、この記事を終わろうと思います。