公式サイトより引用
失業中で半地下に住むキム一家。その日暮らしをしていた彼らだが、ある日、長男が富裕層の家に面接に行ったことから彼らの人生が大きく変わっていき……。
この映画は韓国の格差社会を中心に描いていて
- 上(地上)を富裕層
- 下(半地下)を貧困層
- 半地下の下にいるもの
この高低のつけ方がすごく上手く書かれていて、どんな時にもキム一家が富裕層の上にはいられない描写になっている。
特に圧巻なのが、ソファで愛し合ってる富裕層と机下のキム一家の描写。ここは監督がどうしても書きたかったシーンらしい。
しかし、それよりインパクトがあったのが「ち〇びを時計回りにまわして」ではないだろうか…。
韓国には「時計回り」の方がヨイ!というのを信じている人がいるらしく、それを揶揄(?)したものらしい。
前半はコメディタッチで進んでいくのでわりとザックリ見れるけど、後半は少し「あ、そっちにいくんだ」というような展開に。後半から賛否がわかれると思う。
私が感じたのは、この映画は「格差社会」を意味してるわけじゃなく
- 努力をしても報われない
- 能力のある人でも生きづらい世界
- 能力があるのに、それを正しい方向にいかそうとしない
ここに尽きると思う。
キム一家は優秀だし、あんな事ができるなら仕事も絶対にできる。でも、それをしない。
最初はキム一家へ同情した人でも、話が進むにつれて「お?」と、なったと思う。これも含めた「今の韓国社会の描写」なんだろうな。
長女が「半地下の臭い」と笑って言えたことも、お父さんには笑えなかった。
お父さんには、その見えない臭いが「富裕層に対する超えられない壁」のように感じたんじゃないだろうか。
終わり方は賛否あるだろうけど、私は好きだった。話が進むにつれ、一家への期待値みたいなものがどんどん下がっていったので。
「じゃぁこうすればいいんですね」と綺麗にまとめる訳でもなく、誰かが欠けてもキム一家は同じように日常を過ごしていくだけ。長男も父親もずっとあのままなんだろう。
笑えるけれど、でも決して笑って見過ごしてはいけない映画。世界中で「今の社会」について考えるきっかけになったらいいと思う。