小太りの眼鏡っ子、オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)の夢は美少女コンテストで優勝すること。地方予選で繰り上げ優勝した彼女は、独自の成功論に取りつ かれる父リチャード(グレッグ・キニア)や母のシェリル(トニ・コレット)、自殺を図ったゲイの伯父フランク(スティーヴ・カレル)らと車で決勝大会の会 場を目指す。
シネマトゥデイより
映画「リトルミスサンシャイン」の感想です。ネタバレを含んでますので未見の方はお気を付けください。
我が強すぎる家族
とにかくこの家族は独自の考えを持ちすぎ。そしてそれをお互いに譲らなすぎ。
協調性が無いからなのか、相手がどう言おうがあまり関心が無いのかも。だから精神病院にいたフランクが急にやってきてもすんなりと受け入れられたのかな。
中でもぶっ飛んでたのがおじいちゃんです。外国のおじいちゃんってお年を召されてからも姿勢が良い人が多いよね(おばあちゃんでもそうだけど)だから若々しく見える。言ってることも若々しい。というかヘロイン吸ってる(混乱する視聴者)
「大勢の女とヤれ。一人に縛られるな」というおじいちゃん独特の理論、この人は結婚したけどうまくいかなかったのか、結婚したけど、、うまくいかなかったのか(もうこれしか考えられない)
それでもお孫さんが可愛いらしく、お孫さんの前ではいいおじいちゃん。ヘロインもやらない。ミスコンの為にダンスも教えるし、曲まで選んじゃう。あれは、本番前にお母さん(一番常識人)が確認すべきだった・・とは思う。
おじいちゃん、ずっと観ていたかったんだけどあの人が後半に出てきたら収拾つかなくなるからあれでよかったんだろうな。
どん底の中の光
ゲイの男は恋した教え子に失恋し、とある男は自分の夢が叶わないと知る、ある男は本が出版できず・・・
車に乗っている間にもどんどんどんどん不幸な事が起きていきます。自分たちが乗っている黄色い車がボロボロになっていくのとよく似てる。
もうどうしようもない状態になっていくけど、それでもただオリーヴのために、トランクの中にいるおじいちゃんのために、ミスコンに向かう彼ら。
自分たちのことしか考えてなかった家族が、一人、いや、二人の想いを乗せてボロボロの車を押す姿はひたすら応援したくなりました。
「勝ち組」「負け組」の理論と虚しさ
脚本家は、シュワちゃんことアーノルド・シュワルネッガー氏の「もし私がこの世で最も嫌いなものがあるとすれば、それは負け犬だ。私は彼らを軽蔑する」という発言に疑問をもって、この脚本を書いたそう。
映画の中ではアメリカ一の学者なのに二番目の男に好きな男をとられたゲイ、老人ホームから追い出された老人(ヘロイン中毒)、自分の理論から抜けられない男、などなどが出てくるわけですが、出てくる人達が個性的なのもこういうことからなんだろうな。
彼らはハタから見ればみじめでどうしようもなくて、お金もなくて夢もかなえられないけど、それでも誰かの為に一生懸命努力する、その姿は絶対負け犬なんかではない。
結局「勝ち」「負け」のその枠から抜けられなかったっていうだけなんだよね。
彼らが変わることで、きっとオリーヴにもいい影響がいくはず。あの兄ちゃんも難しい年ごろだけど、頑張ってほしいなぁ。